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【続報】日本酒「薄青瓶問題」について

 以前に「日本酒「薄青瓶問題」について」という記事で触れた話題について動きがありましたので、再び取り上げたいと思います。
 最初にお断りしますが、私は単なる一消費者(素人)であり、以下の記事も全てその立場・知見から述べたものに過ぎませんので、悪しからずご了承ください。

 今回の動きの発端は、そもそもこの問題の提起者である、GEMbymotoの千葉麻利絵店長のこちらのツイートです。




1.秋田県総合食品研究センターの実験について

 こちらのツイートで触れられている実験は、「秋田県総合食品研究センター」の報告(第18号)ですね。
 2016年の研究レポートなので、実際は薄青瓶問題が話題になる前に発表されていたようですが、なぜかネットではあまり取り上げられていなかったと思います。
 こちらのレポートについて、自分なりに実験の概要を抜粋しますと

 ①遮光した環境において
 ②市販の火入れ済みの純米吟醸酒を
 ③色の違う10種の瓶に詰め
 ④45℃で約50日保存した後
 ⑤官能試験を行った結果
 ⑥水色クリアビンにおいて特異的にオフフレーバーが強く、3回の確認試験でもほぼ同様の結果だった

 という感じかなと思います。
 今回大きいのは公的な研究機関の調査のレポート本文で、⑥という結果が示されているということでしょう。
 一般人がやれる飲み比べではどうしてもクリアが難しい盲検化がなされているであろう状況で、結果が出ているのは大きいと思います。

 また、勘違いされやすい部分として①の部分があります。
 少なくとも「薄青瓶問題」として千葉店長らが取り上げ、この実験でも示されていることについては、「瓶の遮光性」とは全く別の問題なんですよね。
 twitterなどを見ていると、混同されている方を散見します。
 まあ実際市販されているお酒でヒネてるのに当たった時、瓶の成分由来なのか遮光性由来なのかなんてわからないので、普通の感覚からしたら無理からぬところかと思いますが…




 個人的には④もポイントかなあと思います。
 (②にある通り)火入れ酒とはいえ45℃はかなり過酷ですね(レポート内では「熟成加速試験」と言っています)、それで50日は結構長い。
 冷蔵下ではどのくらいの期間で影響が出てくるかはこの実験では「わからない」というのが正確でしょう。
 (逆に生酒ならもっと早く影響が出る可能性もあるかと)
 
 なお、調査ではオフフレーバーの発生要因が瓶の着色に使われている「銅」であると推察されることについても記載があります。
 この点、着色方法によっても違いがあるらしく、青系瓶でも銅が溶出しない場合もあるっぽいとか…(頭がこんがらがってきますねえ)
 とりあえず、同じ色でも例外が存在するであろうということは押さえておくべきかもしれません。

2.本実験結果に関する私見(まとめ)

 基本的に問題提起されている内容というのは以前と変わっていないと思います、繰り返しになりますが今回はそれにある程度裏付けがされたというのが一番重要でしょう。
 少なくとも薄青瓶問題というものが「存在する」ということはほぼ確かと言えるんじゃないでしょうか。
 (厳密にいうと「薄青瓶だけじゃないのでは」とか「問題とまではいえないのでは」という立場はあると思いますが)

 個人的には、買い手側からすると、
 薄青瓶のお酒については、
 ①必ずしも品質が悪いというわけではない(というか店頭にあるのは大部分問題ない)
 ②製造(瓶詰)後時間が経ったものには気を付けた方が無難かも
 ③買った時は保存状態にかかわらず早めに飲んだほうが無難かも
 というぐらいの認識は持っておいた方がいいとは思いますね。
 ただまあハッキリいって「気にしない」というのも、少なくとも自分で怪しいお酒を経験するまでは、全然アリな姿勢だと思います。
 (逆に言うと私は自分で経験しているからこれだけこだわっているわけなのですが)

 しかし、売り手側、提供側については、少なくとも事ここに至っては、「瓶の色が品質に関係するわけない」みたいな姿勢はちょっと無責任なんじゃないかなあとは思います。
 勿論蔵元として「うちのお酒はそう簡単に劣化しない」とか「夏酒は夏に売り切るから問題ない」というのであれば、それはそれで構わないでしょう。
 ただその場合は、前者なら相当期間置いたものを自分で飲んでみるべきだし、後者なら残り物が売られていないかちゃんとチェックすべきかなあと思います。
 酒屋さん、居酒屋さんもそれは同様で、自分で飲んで問題無いと思うならそれでよし、問題ありならしかるべき対処をすべきかと。
 (まあこの辺りは、薄青瓶に限らず品質管理一般に言えることなのですが…)

 最後に、前回も述べた私としての究極のスタンスを述べますと
 「せっかく丹精を込めて醸された日本酒がボトル由来で劣化するのは勿体無さ過ぎる!」
 これに尽きます。
 上では凄く偉そうな書き方になってしまいましたが、やはり提供側の方々には問題を認識していただく必要はあるんじゃないかなあというのが、わがままな一消費者として、私が持っている意見になります。

3.(補足)この問題に関連する酒類総合研究所の公開特許について

 千葉店長はこのようなツイートもしています。




 調べたところツイートに出ている他にもう一つ関連してそうな特許があったので、以下の二つが関連すると言えそうです。
 ・【公開番号】特開2013-233131 「ガラス容器の清酒保存性能評価方法」
 ・【公開番号】特開2013-233132 「ガラス容器の清酒保存性能改善方法」

 これらについては「特許情報プラットフォーム|J-PlatPat」から、公開番号を検索し、「PDF表示」を選ぶことで、詳細な内容を確認できます。
 流石に長くなるので、ここでは抜粋等は行いません、気になる方は是非原文に当たってみてください(個人的にはなかなか興味深い内容でした)。

 また、こちらについては「りょーさけ」さんがこの問題についてまとめられている記事の中に、丁寧な要約と解説がありますので、まずはこちらから読むのもオススメです。
 (ちなみに同記事は私の記事よりこの問題について更に突っ込んだ解説をされてますので、興味があれば是非他の部分もご一読を!)

4.(おまけ)本問題全体についてのさらに突っ込んだ私見

 ここから先は追記部分にダラダラ書いていこうと思います…、まあ興味があれば読んでいただければ。

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タグ: 薄青瓶問題

個人的にはこの問題をややこしくしているのは
 ①青系瓶の遮光性能との混同
 ②「ヒネ」の評価の難しさ
 ③「例外」の存在
 ④風評被害の恐れなどセンシティブさ
 辺りが大きいかなあと思っています。

 ①についてなんですが、正直日本酒の保管においては薄青瓶特有の問題より、光(紫外線)による老ね、日光臭に関する影響の方が基本的に大きいと思うんですよ。
 これについては最近長野の岩波酒造さんが書かれていますが、一週間程度日光にさらした時点で結構露骨に瓶の色で差が出るようです。
 この点については、私の個人的な経験とも合致します、秋ごろの試飲会で、同じ蔵のお酒を飲み比べたときに青系の瓶(薄青瓶以外も)だけ明らかに変な匂いを感じたことが数回ありました。
 ただ遮光性については、業界内でも常識に近いレベルで共有されてるんじゃないかなあというのが個人的な印象です、UVカットの袋に入れてあるもの(蒼斗七星とか)も多いですしね。
 瓶の成分由来である薄青瓶問題では、数週間程度では影響出ないっぽいですし、その辺りを混同すると「普通はちゃんと保存するんだから問題は存在しない」みたいな誤解が生じると思います。
 
 ②もなかなか厄介ですね…。
 そもそも「ヒネ」みたいなオフフレーバーは、鑑評会とかではハッキリ位置付けられるんでしょうが、一般の飲み手に取っては絶対的なものじゃないんですよね。
 私の様な生酒偏重派は割と気にする方だと思いますが、火入れ燗酒派はあまり気にならないんじゃないでしょうか(そもそも世には日落ち酒を好む変態ども(褒め言葉です)も居るわけですし)。
 また、お酒の味わいの方向性でも感じられ方は全然変わってくると想像できます。
 これについては「日本酒好きのおっちゃんが何か言うとるわ。( ´ ω`)」さんが以前面白いレポートを掲載されており、非常に参考になると思います。
 フルーティー酒だと危険性が高いというのは完全に同感ですね。

 で、①②両方に関することですが、この問題を提起された側に新政の佐藤社長と、地酒屋こだまの児玉店長がいらっしゃるというのも、かなり示唆に富むことだと個人的には思っています。
 というのは、新政はかなり熟成適正があるお酒ということで、蔵元、酒屋、個人それぞれでかなり積極的に数年レベルの(生)熟成が行われているんですよね。
 薄青瓶による影響が仮に微々たるものだったとしても、新政の上の様な状況を鑑みれば、提供側としては当然無視できないでしょう。
 そして地酒屋こだまについては、まあお店に一度でも行ったことがあれば分かると思いますが、ごろごろ数ヶ月~数年熟成の生酒があり、それがしっかり飲み頃に管理されているわけです(しかも試飲可)。
 これまた、そういうお酒の育て方を知っている店長からすれば、やっぱり無視できないでしょう。
 少なくともお2人が自蔵のお酒や取引先の蔵のお酒について、薄青瓶を避けるようにしたということは、提供側の姿勢としては一本筋が通っていると私は思いました。
 この辺り、長期熟成酒研究会とか、熟成系の知見持っている団体はどういうスタンスなのかは個人的に気になりますね。

 ③は上でも書きましたが、瓶への色付け方法とか、公開特許で書かれている「ガラス容器の清酒保存性能改善方法」がなされているかどうかなんてのは瓶を見ただけではわからないのに、それによって結果が違ってくると思われるんですよね。
 市販酒で試そうと思っても、「薄青瓶問題が生じない薄青瓶」なんて例外があるんじゃあ実際検証はほぼ不可能といえるでしょう…

 ④については言わずもがな、プロは発言しにくいでしょう。
 個人的には、業界の方々が「知っていて」黙っているなら全然OKと思います。

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2019年04月17日 日本酒関連の雑記 トラックバック:0 コメント:2

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変態的趣向酒マニア向けな話題ですなぁ
一般には販売店の管理の方を気にしたほうが有意義ですなw

2019年04月19日 やす URL 編集

>やす様、コメントありがとうございます。
温度や遮光管理のほうが大事というのは完全に同意です、ただまあそちらは常識なので…
数年生熟がまだ変態的というのは否定しません(笑)でもハマれば旨いですよ。
個人的にはやはり生酒が冷蔵下でどうなるかというデータは欲しいですね…

2019年04月20日 まるめち URL 編集












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